西芳寺(苔寺)

西芳寺(苔寺)

世界遺産 西芳寺(苔寺)

苔寺は京都市西京区にあります。
臨済宗単立寺院、山号は洪隠山(こういんざん)。
正式名称は西芳寺(さいほうじ)ですが、苔寺(こけでら)と呼ばれ親しまれています。
前身は西方寺。奈良時代に行基(ぎょうき)が聖武天皇の命で創建、行基が建立した四十九院のうちの一つ。
開山前の飛鳥時代には現在の西芳寺があった地に聖徳太子の別荘があったそうです。
1994年には世界文化遺産「古都京都の文化財」に指定され、庭園は国の特別名勝に指定されている由緒正しい寺院です。

苔寺の予約

西芳寺(苔寺)は事前予約必須で、往復はがきでの予約のみ受付しています。
参拝希望日の2カ月前から受付けており、希望日の7日前必着で投函する必要があります。
参拝は2019年6月から中学生以上としているそうですが、年に数回お子様参拝も実施されているとのことです。
事前予約が必要な背景としては、徐々に参拝される人が増え、
観光公害が生じたことから昭和52年より事前申込(往復はがき)が実施されるようになったそうです。
予約なしでは入れないので、ご注意ください。
予約の詳細は西芳寺のホームページにてご確認ください。

今回は4月下旬に申し込みました。
参拝希望日は複数指定可能ですが、時間は指定不可です。
往復はがきに参拝希望日を3つほど書きポストに投函し、後日返信はがきが届きました。↓
苔寺 往復はがき

参拝に関する案内が記載されています。
当日必要なもの:届いたはがき、参拝冥加料 3,000円
写経用の筆ペン、又は細筆(本堂での写経で使用)
筆ペンや細筆は受付でも販売しているので、当日忘れたり、持っていない場合は買い求めることもできるとのこと。
時間は10時から11時の間 開門(入場可能)12時に閉門とあります。

苔寺へ向かう

苔寺へは京都バスで京都駅から73系統、四条河原町・三条京阪から63系統のバスが出ています。
今回は 四条河原町・三条京阪方面から63系統「苔寺・すず虫寺」行きに乗り向かいました。
バスに揺られること約1時間とかなりの距離がありますが、均一区間のため運賃230円と大変良心的な価格です。
終点の「苔寺・すず虫寺」で下車して徒歩3分程で苔寺に到着。バス停からはとても近く感じました。

バスを降りてから苔寺へ向かう道。

バスを降りてから左に曲がり道なりに進むと苔寺が見えてきます。
近いので、迷うこともなく無事到着。

門に到着すると受付の人がいらっしゃり、そこで冥加料(拝観料)の3000円と返信はがきを渡して受付を済ませます。
受付の方が本堂までの行き方や、写経のことなどの説明などを丁寧に案内してくださいました。

青モミジがとっても美しく目に飛び込んできました。

苔寺へはずっと行きたいと思っていたのですが、往復はがきでの事前申込というのが仕事的に難しく、なかなか来ることが出来なかったのですが
今回はようやく来ることができて嬉しさと期待に胸を膨らませ、テンションが上がります。

境内は隅々まで綺麗に手入れされており、第一印象は「美しい」と感じました。

門を入ってすぐから絵になるような美しさ。

まずは本堂へ写経をしに向かいます。

本堂に到着すると、お寺の方が出迎えてくださいました。
お寺の方々は皆さんとても親切で気持ち良く参拝することができました。
筆ペンや細筆を持っていない方は本堂入り口の所で購入することができます。
本堂内は撮影禁止とのことですが、本堂から外のお庭を撮影するのは大丈夫とのことです。

本堂

写経

写経の用紙を1枚貰って、本堂の好きな場所で写経をします。
座るところは80席ぐらいはあったと思いますが、昨今のコロナ禍で訪れている人は私を含めると約6人ほどでとても静かでした。
席は畳に座るところと、テーブルに椅子の場所とあります。
細筆を使われる方用に硯も置いてありました。
写経の間、扉が全て開いているので、まるで外にいるように風を感じたり、鳥のさえずりも聞こえ
森の中の凛とした空気が感じられました。
少し肌寒い日でしたが、冷たい風がまた心地良く心静かに写経に没頭。
実は、写経は初めての体験でしたが、写経の用紙には薄く字が書かれているのをなぞるだけなので
初心者でも簡単にすることができました・・・が、なぞるだけとはいえ難しい・・・美しく書けるようになるには修行が必要ですね(汗
そんなこんなで30分ほどで書き終わりました。
書き終わった写経の用紙は持ち帰っても、お寺に奉納してもどちらでも良いとのことです。

今回写経用の筆ペン、もしくは細筆が必要と書かれてあったので
私はこちらの写経用の筆ペンを用意しました。↓

呉竹 くれ竹万年毛筆写経用 85号 DP150-85B
苔寺 写経用 筆ペン

呉竹は本社奈良県の文具メーカーで書道用具で有名なメーカーです。
以前、欧米から京都を訪れている観光客の方が百貨店に呉竹の筆を
買い求めるのをサポートしたことを思い出し、こちらのメーカーの筆ペンを購入しました。
試し書きをした時の第一印象は、本当の筆に近い書き心地です。
筆に慣れていないので、すぐに写経で使えるのかと少し不安でしたが、とても滑らかな書き心地で
初心者でも使いやすく感じました。インクは交換式なので長く使えそうです。
写経でも問題なく使えたので良かったです。大事に使おうと思います。

呉竹 くれ竹万年毛筆写経用 85号 DP150-85B

写経を終えたらお庭を拝観できるとのことで、早速お庭へ向かいます。
事前にネット上にある様々な苔寺の美しい写真を眺めていたので、どのような所なのかなんとなくイメージはありましたが
自分で体験できるというので本当に楽しみにしていました。

庭園の入り口あたりから、もうそこは緑一色の世界。

黄金池

まず目に飛び込んできたのが、こちらの黄金池です。
水面に対岸の木々が反射していて神秘的な雰囲気。

通路以外の見渡す限りの場所に苔が生育していて、一面苔のグリーンでため息の出るような美しさ。

小さな小川が流れている場所の苔は特に生き生きとした生命力が伝わってきました。

小川のせせらぎと小鳥のさえずりのハーモニーがとても心地良かったです。

苔寺には約120種類の苔があるそうです。
個人的に苔が好きなので、色とりどりの美しい苔を思う存分見ることができて充実のひとときでした。

モミジの赤ちゃん木が苔の中に映えていてとっても可愛い。

鳥のさえずりを聞きながらゆっくりと庭園を一周。
庭園の広さは35000㎡あるとのことで見応えがあります。
写真を撮りながら歩いていると時間が経つのも忘れてしまいそうです。
途中、往復はがきの返信に閉門が12時と書いてあったのを思い出し、少し急ぎ足になりましたが
一周見終わったのは11時20分頃でもう少しゆっくりと歩いても大丈夫そうでした。

ふわふわの苔と椿の共演。

苔寺の参拝は、写経の体験からお庭の拝観までとても素晴らしく、静かな素敵なひとときを過ごすことができました。
これも事前申込があって人数制限をしているからのことなのだと実感。

苔寺のベストシーズン

今回は4月下旬で晴天が続き乾燥気味でしたが、新緑と苔が本当に美しかったです。
帰り際に受付の方から伺ったお話によると、雨上がり時には苔がみずみずしく
また違った光景を見られるとのことを教えてくださいました。
そのことから、苔寺のおすすめ時期は雨の多い梅雨時期が良さそうに感じます。
秋の紅葉と苔の競演も気になるところです。
またいつか機会があれば、苔寺へ行ってみたいと思います。

苔寺へのアクセス

【京都駅から】
バス:京都バス 73系統「苔寺・すず虫寺」行き乗車 約60分 「苔寺・すず虫寺」下車 徒歩約3分 (運賃:230円)
タクシー京都駅中央口(烏丸口)から約25~30分 料金:約2500~3000円

【四条河原町・三条京阪から】
バス:京都バス  63系統「苔寺・すず虫寺」行き乗車 約60分 「苔寺・すず虫寺」下車 徒歩約3分(運賃:230円)

【嵐山方面から】
京都バス 63系統・73系統で約10分 「苔寺・すず虫寺」下車 徒歩約3分 (運賃:230円)

苔寺には駐車場はありません。
近隣のコインパーキングも台数に限りがあるので、
繁忙期には公共交通機関を利用されるのが無難かと思います。

苔寺を予約するのが難しい方へ

時間などの諸事情で苔寺を予約するのが厳しい方には、嵐山にある祇王寺(ぎおうじ)というお寺がおすすめです。
西芳寺と比べるとこじんまりとしていますが、祇王寺も苔がある寺院なんです。
庭園はとても美しく、小さな苔寺という感じの場所です。
祇王寺は予約なしでも大丈夫ですよ。
大覚寺の塔頭寺院なので、大覚寺も行かれる場合は、大覚寺・祇王寺の2カ所共通拝観券(600円)がお得です。
祇王寺と大覚寺についてはまた改めて別の記事でご紹介したいと思います。